「ベイシー」、ジャズ、オーディオファンの間では知らない方の方が少ない、岩手県一関市に在る高名なジャズ喫茶店。
其処の御主人の菅原昭二氏がステレオサウンド誌に連載した原稿を、加筆編集した本です。
講談社、良く出したなぁ、、、この本。
ジャズ喫茶「ベイシー」の選択 菅原昭二
読んだのは、先日大阪に行った時に寄った梅田カッパ横丁の古本屋さんで手に入れた新刊書ですが、もう絶版に成っている様で、写真は文庫本です。
”オーディオマニア”は”オーディオマニア”のやっていることや、考えそうなことはだいたいわかっているのだが、そうでない人は”オーディオマニア”というものがいったい何をやっているのか、何を考えているのかをほとんどわからない。
Prologueより
そうして、納得出来る記載、カウント・ベイシーを始めとするジャズメンとの交流、等音楽やオーディオが好きならぐいぐい引き込まれる様な話がリズミカルに広がって行きます。
面白くて、一気に読了。
オーディオの泥沼を見た人間しか書け無い様な記載が所々でちらちらと見られ、ああ、この方、本当に音楽とその再生に命を削った方だなぁ、と思いました。
多分、此処の音は素晴らしいと。
多分、人見知りする方でしょうから、此処の常連に成ったら素晴らしい体験が出来るのでしょう、多分。そんな気がします。
まぁ、何処のジャズ喫茶も同じ様なものではありますが、、、
そうでないと、そこの音を認められませんから。
でも、凄くニュートラルな判断能力を持った方だと思います。
この本の記載でも、他所の音を貶す様な記載は全く見られません。
自身の音に関しても、自分の音楽哲学を貫いた上での記載であって、良い音だとは記載されていません。まぁ、自分の所の音が一番好きな音で無ければ、凄く不幸だと思いますが、、、
菅原さんは自身の音が好きなようです。
勿論、科学的なオーディオの解析も回路の話も、具体的なセッティングも全く記載はありません。
でも、行間からあの音楽の風景を再現したいという想いは痛い程伝わってきます。
その想いを感じるだけでも、本書を読む意味はあると思います。
故池田氏や故岩崎氏の本を読んだ時の感覚に近い様な気がします。
自分の音を求めて楽しんだ自分史を読む様な、、、
そう云った意味で参考に成る箇所は、読み手の業の深さに左右される様な、、、
これが某剣豪小説の著作ですと、天上天下唯我独尊の匂いがして、、、
全部読みましたが、、、
(少なくとも、他所に聴きに行って其処の音を貶す記載をするのは、、、品が無い!美意識の問題だと思いますが、、、)
でも、聴かせて頂けるうちに行かねばならないなぁ、、、と、心底思いました。
自分の好みに合うかどうかは、全く別にして。
勉強に成りますもの。
しかし、遠いなぁ、、、