クマにしては読むのに比較的時間が掛かりました。
まぁ、全3巻が手元に揃ってから読もうと思って居たもので、、、
で、揃ってから改めて見ると、全部で2100ページを越すヴォリューム、、、更に活字細かめ、、、(二段組みで無かっただけマシか、、、)
途中で若干読むのが嫌に成った部分もありましたが、この理由は後述します。
(何故か、
他の小説に浮気、、、)
ただ、読み終わって、流石の宮部ワールド!
見事に小宇宙が出来上がってました。
読ませて呉れます!!!
第一部 事件
第二部 決意
第三部 法廷
ソロモンの偽証 宮部みゆき
流石の筆力です。非常に細部まで細やかに書きながらも、大筋の骨格が太い!
宮部みゆきさんの真骨頂の様な小説。
じっくり読書に嵌まりたいのであれば、これは強く御勧めです。
先ず、ミステリーとしては、、、謎解き遊びの好きな方、若しくはそれが主でミステリー小説を読まれる方、、、読まない方が良いですよ。間違い無く。
新聞広告に「あなたはこのラストを絶対に予測できない!」って書かれてましたが、はぁ?!
第二部の上の方で大凡のラストは気付くやろ〜、普通。
そう云う類いの小説ではありません。絶対に!
これは、骨太の人間ドラマ、それも学園ものの。
だから、非常に細かく丁寧に織り込まれた登場人物の性格、背景、行動パターンを踏まえた上で、その動きや変化、相互作用の流れを楽しむものであって、謎解きを楽しむ小説では無いと思います。
変なトリックや、後出しの事情も出て来ないし。
最初から首尾一貫、時系列通りに物語の時間は流れます。
その時間の流れに殆ど矛盾無く、鏤められた伏線が見事に集約される風景は本当に見事です。
「よっ!宮部屋!!!」と合いの手の一つも入れたくなる程。
このヴォリュームのストーリーでこれ程綺麗には普通纏まりません。
小説新潮に2002年10月から2011年11月まで足掛け9年も連載された小説なのですから。
で、途中でクマが読むのが重くなった理由なんですが、流石に現代小説でリアルミステリーですと、色々な性格の登場人物が登場します。
で、基本的に嫉み、妬み等の負の感情や厭世感、腹黒い感情って駄目なんですよね、、、理解出来ない上に読んでて気分が悪くなってくる。
それがまぁ、見事な筆で非常にリアルに書かれると、、、
どんなに美味しいと言われても、絶対に納豆が食べられない様なもので、生理的嫌悪が、、、
とは、言うものの、気を取り直して読み続けているうちに、第二部から流れが変わって、ぐいぐい引き込まれ、、、ええ、徹夜で一気に第三部の最後まで読み終えました。
読了は本日AM 05:37、、、
リアルなストーリーを構築する為、本当に細部まで書き込まれた背景、キャラクターの詳細な細工、これらの為、非常にヴォリュームのある小説と成っていますが、仕方が無いと思います。
これ削ぎ落とすと、もっと軽い話に成って、、、別の印象に成るでしょうから。
唸り音を立てて走る、低めの剛速球の様なこの小説、御時間のある時に是非。
読み終えた後の達成感は、得がたい物が有りますよ。
宮部さんの小説の常で、読後感はスッキリですから。
本当に楽しめました!