前作に引き続き、竜ヶ坂商店街オーケストラを舞台にした本作。
矢張りクラシックの名曲が縦糸に成り、横糸はそれに纏わる様々な人の心、動き。
又々、見事な織り上がりで、サクッと読めて、結構楽しめました。
ドラフィル!2―竜ヶ坂商店街オーケストラの革命 美奈川護
先ずは帯より
『お前にこれ以上、ヴァイオリンを続ける価値はない』相も変わらず、竜ケ坂商店街フィルハーモニー、通称『ドラフィル』でコンマスを続けていた響介。しかし急にかかってきた父・統からの電話と唐突なその物言いに、響介のヴァイオリンの音色は大きくかき乱される。そんな彼に発破をかける七緒だったが、彼女の元に送られてきた『ある物』により事態はより混迷を極め―!?商店街の個性的なメンバーで贈る「音楽とそれを愛する人々の物語」待望のシリーズ第2弾が登場。
今回はコンマスたる響介とその親子関係、又それとは別の親子関係、それらが主題ではあるものの、そこにとあるヴァイオリンが絡み、ミステリー色がやや強くなっています。
とは言うものの、ミステリーが主役では無く、音楽が矢張り主役。
今回の主人公は「鐘の音」。パガニーニ作曲、ヴァイオリン協奏曲第二番ロ短調 ラ・カンパネラ。
アマオケのコンマスがヴァイオリニストとして挑むには難曲、、、
しかし、心の中の事情もあり、やらねばならない、、、
さて、年末のコンサート目指して3ヶ月。どうなるのか、、、
そんなお話しです。
キャラクターは一作目からの引き続きですので、読み手にとって御馴染みのメンバー。
商店街の方々だけに、個性的に動いてくれます。
まぁ、それを率いる常任指揮者が更に個性的ですので、しっちゃかめっちゃかのコメディに成りつつも、暖かい作者の目が人情物としての側面を固め、クラシックが調和の取れた旋律で見事に物語を終演へ持って行く、そんな感じの小説です。
前作同様、音楽好きをにやりとさせる記載は散見されますし、作者の音楽に対する(クラシックだけで無く)愛情が滲み出ている小説です。
本当に軽く読めますが、読後感は非常に心地良い物が御座いますので、前作共々、是非手に取ってみて下さいませ。
当ブログに来て頂いている音楽好きの方に、自信を持って御薦め致します。