殆どアニヲタの間で評判に成る事も無いこの作品。
(面白く無い、退屈と云う感想も散見されますが)
偶々観たのですが、作品で取り上げている時代と地域がなかなか特殊で、それ故、どうこの話を纏めるのか興味があり最後まで観ました。個人的には結構面白かったです。
閃光のナイトレイド
ジャケット写真は北米版のBlu-Rayですが、日本語字幕が無い事以外、安価で全話(OVA含め全14話)が観られる上、2枚組で場所を取らないので、特典等が欲しくない方には御薦めかと。
ただ、どうして日本語字幕なんて書いたかと申しますと、実は舞台、上海事変から満州国建国辺りの時代の支那。
英語は兎も角、支那語は全く判らないので字幕が無いと、、、
何れにしてもこの時代のこの場所は、記憶にある限りアニメで殆ど取り上げられた事が無く、、、
非常に取り扱いに難渋するのがこの時代の話。それこそ未だに歴史的解釈で政治問題に成るような時代ですから。
にも拘わらず、上手く史実を取り入れながら仮想歴史を折りこんで破綻する事無く終演へと持っていっている、ストーリーと演出の上手さには感心します。
それも、大日本帝国万歳史観から描いた戦記物ならまだしも、桜井機関という帝国陸軍に所属する歴史から消えた諜報機関(たったメンバー4名)が主人公の裏歴史のような地味な話、、、
いや、良くこんな話、企画段階で通ったなぁ、、、、
史実は基本的に結構正確に描かれてますので、実在の人物で登場する面々も、石原莞爾、建川美次、頭山満、張作霖、ヴィクター・ブルワー=リットン、愛親覚羅溥儀、等々。そこそこ詳しく無いと「誰?」と成るような面子です。
(もっとマイナーな実在人物も出て来ます)
舞台も、上海を始めとし、新京、大連、奉天、哈爾濱と様々な都市が描かれ、歴史上の建造物等、結構真面目に資料を調べて作られた作品である事が覗われます。
(歴史上の満州国建国まででこのストーリーは終了しているので、その2年後に走った「亜細亜号」特に「パシナ」が登場しないのは、、、でも、安易に登場させなかった事に、この作品の真面目な制作姿勢が感じられます。満鉄はストーリーに結構出て来ますから。)
で、基本ストーリーは結構荒唐無稽なんですが、そこはアニメですので。
でも、淡々と物語を進めて、史実との整合性が取れるように気を遣ったので、派手なシーンとかスーパーメカが出て来るシーンは全く無く、時代もあって若干根暗な印象が嫌われたのかも知れません。
日本の侵略に関しても可能な限りニュートラルに描いていて(個人的にそう思います)、侵略される側の心境も結構台詞に出て来ます。
登場人物の感覚、考え方も当時の日本人の一般的な範疇に収まるよう、上手く作られてます。
それだけでは面白味に欠けるので、幼少時から欧州で育ったという一般的臣民の感覚と異なる登場人物も配されてますが。
(ただ、桜井機関のメンバーが超能力者だったり、帝国陸軍から消えた部隊があったりして、、、まぁ、その辺りはアニメですので、、、)
そこそこ真面目に作った裏史実スパイ物として、ある程度歴史を知っている位の方が楽しめる作品だと思います。
(惜しむらくは、その層が一番アニメを観ない層、、、)