錚々たる受賞歴を誇る本作品、確かに上手く纏まっていて面白い。
現実的に「それは無いやろぉ!」とか「そんなに都合良く行くかい!」とツッコミを入れながらも最後まで笑いながら、ハラハラしながら観てしまう。
それだけ映画としての完成度が高いのだと思います。
鍵泥棒のメソッド 2012年 内田けんじ監督作品
ネタばらしをしたらこれから御覧になる方の面白さ半減ですので、厳に慎みます。
そんな映画です。筋を知っていても観て考える、そんな小難しい映画では全く無い。非常に判り易く映画的筋立てで話が進みそれが面白い。
でも、結構、登場人物の歩んできた道筋や性格が非常に上手く語られていて(それも映画的手法で。ナレーションや解説的台詞に頼るなんて下品な手段は全く使わず)、それを時として複線に使い、後で上手く拾い集めながらも、そんなに目立たない。よく見ると結構、凝った、洒落た作りなんですよね、意外と。
脚本の段階で、具体的シーンを思い浮かべながら練りに練られているんでしょうね。
それに矢張り、俳優さん達が非常に上手い。
堺雅人さん、香川照之さん、広末涼子さん、それぞれに非常に上手く役作りをした上で表現が豊か。
その上更にその脇を固める荒川良々さん、森口瑤子さんの演技も光ってます。前述の3人に負けないだけの存在感。でもバランスを崩す様な事は全く無い。
そう言った、映画を構成するのに大切なパート一つ一つが結構丁寧に構築されているんですよね、この映画。
本当に何と云う話でもないし、荒唐無稽だし、、、でも面白い映画に仕上がってるんですよね。
上手いなぁ。
だから
第36回日本アカデミー賞 最優秀脚本賞・優秀主演男優賞・優秀助演男優賞・優秀助演女優賞
第55回ブルーリボン賞 監督賞・助演女優賞
第37回報知映画賞 作品賞
第86回キネマ旬報ベスト・テン 日本映画脚本賞・読者選出作品賞・読者選出監督賞
第25回日刊スポーツ映画大賞 監督賞
第15回上海国際映画祭 最優秀脚本賞
第34回ヨコハマ映画祭 脚本賞
第32回ハワイ国際映画祭作品賞
と、国内の映画賞を総ナメにしているのも肯ける。
で、海外の賞は、、、まぁ、日本人的面白さの映画だからなぁ、、、これ。
機会があれば御覧下さい。
邦画的面白さに満ちた映画です。マニア受けする映画ではないですが、唸らせる部分もありますよ、よく見ると。