昨年の
瀬川冬樹先生の著書も嬉しかったですが、この本も嬉しかったです。
全ての原稿は読んだ記憶が御座いましたが、、、
山中敬三著作集 真のオーディオ・コニサー
1996年に御亡くなりに成った山中敬三先生の著作集です。
オーディオが趣味として輝いていた、Stereo Sound誌がオーディオ雑誌として輝いていた時代にオーディオ評論家として活躍されていました。
とは言え、最後まで本業を御持ちで、御持ちのオーディオ機器も全て自前で購われた物であったと伝え聞いた事が御座います。
(ビクトローラ・クレテンザがある様な資産家の一族のお生まれでしたが、、、)
言葉を荒立てる事無く、上品且つ冷静なその文章はとても読み易く、当時、ファンでした。
そして、その反面、メーカーに媚びる事は無く、知名度の低いメーカーでも御自身が気に入れば好意的に御紹介なさっていた事、御自身が納得出来ない場合、粘り強く議論されていた事も印象に残っています。
古の紳士、そんな印象です。
この本も前半部分は使われていたシステムの紹介、古いオーディオ機器の詳しい紹介等、懐かしい記事が並んでいます。
1976年 Spring のStereo Sound誌で、音楽評論家の黒田恭一氏が、Stereo Sound誌の評論家宅を訪問し、音を聴いた上でインタビューし、その方の姿勢や好む音を浮き彫りにしたこの記事は、読んだ当時からとても印象に残っています。
こう云う特集は今のオーディオ誌では全く見られませんが、、、
その中でも、山中先生と岩崎先生の御宅の音には憧れを持ちました。
どうしてなのかは今も判らないのですが、この御二人の評論が一番好きだったと記憶しています。
そうそう、後、長島先生も。
古い機器の事ばかり書いてある本でも無く、もし、アナログプレーヤーを手に入れてレコード再生をしてみようと思われている方でしたら、この本の27ページから42ページまでの「良いプレーヤーシステムとは」は非常に参考に成ると思います。
アナログプレーヤー選びの本質的な事が記載されていますから。
こう云う基本的な技術解説も今のオーディオ誌では、、、止めましょう、所詮斜陽の趣味ですから。
概ねの感想は瀬川冬樹先生の本の紹介で記載した通りです。
余り加える事も御座いませんが、矢張り本書も大昔のオーディオ黄金期の輝きの一部を感じる事が出来る良書だと思います。