上映されているのは知っていましたが、観に行けたのは上映終了期日も迫った頃、、、
土曜日とは言え、21:45からの上映の回でほぼ満席でした、、、
屍者の帝国
原作は伊藤計劃×円城塔「
屍者の帝国」です。
この原作自体が、伊藤計劃さんが冒頭の草稿30枚を遺し早逝。
円城塔さんが遺族の承諾を得て続きを書き完成させたものですので、既に二次創作と言っても良いのかも知れません。
さて、映画です。
観終わってどうかと自問したのですが、上手く出来たアニメだと思います。
確かにあの原作をそのままアニメ化するのは尺的に難しいですし、3部作に分けても興行的に問題が出るでしょうし、、、
登場人物もバッサリ減らされてますし、人間関係も違う。
主題も微妙に違う。
それでも、独立した作品としてはそれなりに完成されていると思います。
しかし、判り難い部分も多々あり(原作既読でしたら問題はありません。脳内補完出来ますし、二次創作として楽しめば良いのですから)、もう少し尺を長くしても良かったかなとも思います。
絵も綺麗に良く動いてましたし、屍者の描写も秀逸、あの原作の映像化に挑んだだけでも評価出来ると思います。
原作未読のヨメもそれなりに面白いアニメだったと言ってますし。
ただ、もし、この映画が面白かったのであれば、原作は是非読んで頂きたいと思います。
で、以下、ネタバレで、、、
先ず、伊藤計劃さんが遺した冒頭の30枚の部分がバッサリカット、、、
エイブラハム・(ヴァン・)ヘルシング教授カット、、、
原作では単なる記録専用屍者のフライデーが、ワトソン博士の友人で、彼の魂を取り戻す事を主たるテーマに映画では書き換えられています。
確かに、認識とは、魂とはと云う、形而上のテーマを扱うのに、文字という媒体では無く映画と云う媒体で描くには不向きでしょうし、難解に成りすぎると思います。
だから、仕方が無い変更かと。
しかし、それなら、カラマーゾフ兄弟の部分の描き方が、、、
あれだと単なるマッドサイエンティストですし、ヴィクターの手記の意味も、、、
そして、ラストの方で、Mが独善的に人類を屍者化しようとしたのも、意味不明でした。
この辺りは原作と大きく違いますし、もう少し何とか成らなかったのかと、、、
とは言うものの、アクションシーンをカットしてその辺りの描写に尺を回すと本当に一部の人間しか観ない映画に成ったとは思いますので、、、
作品としては仕方が無いのかも、、、
御願いです、原作読んでみて下さい。
本当に面白いです。