相も変わらず、此の手の映画に付けられる邦題は、、、
何とか成らないのかなぁ、、、
原題は「The Help」これで良いんじゃ無いかと、、、
これは良作!!!御勧め出来る映画です。
ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜 2011年 テイト・テイラー監督作品
舞台は1960年代前半のミシシッピ州ジャクソン。
南部の人種差別が強く残る街。
そこでの黒人メイド2人とライターを目指す若い白人女性、その周囲、それらの想いや人生が絡み合い話は進んで行きます。
当時の米国での公民権運動の生の感覚が非常に上手く伝わる良作です。
画像も美しく、話の流れも澱み無く、説明口調に成ったり説教臭く成ったりも全くせず、一人一人の個人の感覚や感情が上手く抑制されたトーンで滑らかに伝わります。
歴史の一側面を伝えるフィクションとしては本当に良く出来ていると思います。
元々原作者のキャスリン・ストケットさんと監督のテイト・テイラー氏は幼馴染みで、ミシシッピ州出身。
キャスリン・ストケットさんの原作がベストセラーに成る2年前に映画化権はテイト・テイラー氏の手にあったそうです。
そうして、非常に沢山の友人絡みで作られたこの映画、地元出身者が制作に深く関与していますので、非常に自然にその土地が語られています。
それが風景の取り方、出て来る料理等、細部に至るまで生かされています。
この辺りのディテールに誤魔化しや嘘の無い映画は、独特の重みを持ちます。
それが非常に上手くスクリーンから伝わって来ます。
監督自身が、離婚して働く事によって育ててくれた母と育児や家事をしてくれた黒人メイドの二人の母を持つ経験をしている事も、この映画のリアリティを補強していると思います。
実際そこにあった差別、でもする側は罪悪感も無く、自然な事であり、受ける側も生活がある以上、忍耐するしか無い、、、そんな空気が上手くバランスしている点は、見事としか言い様がありません。一般的に、被差別側が差別側を一方的に糾弾する流れに成りがちですから、此の手の映画は。
そして、何より、2500万$の制作費で作られた、何のアクションもSFXも無い、有名俳優の出ない人間ドラマに観客が入り、3週連続1位と成り、2億1160万$の興行成績を上げた事、此処に米国映画とそれを支える優良な観客の層の厚さを思い知りました。
確かに日本映画にも素晴らしい映画はあります。でも、近年、此の手の真面目な人間ドラマを描いても、そこまで客は入りません、、、そう云う映画をマイナーな名古屋の劇場や東京、大阪の劇場に観に行っているクマとしては忸怩たる思いが致します、、、
良い映画です。
皆様にお勧め致します。