この本はヨメが先に読んでました。
普通に面白く、サクサク読める連作短編集です。
非常に素直な運びで、この作品に関してはブラックさも過激さも全く無し。
良作です。
静おばあちゃんにおまかせ 中山七里
先ずは帯から
「一見頼りなげながら、つぎつぎと難事件を解決する捜査一課の若手刑事、葛城公彦。でも、彼のお手柄の裏にはある秘密の存在が…。」
この作者さん初のアームチェア・ディテクティブものです。
但し、手足と成って動く人材は存在し、それが主人公の若手刑事、葛城公彦と静おばあちゃんの孫娘、円。
ただ、上手い作品の常として、静かと円の家庭的情景の描写、公彦と円の恋愛感情が上手く本筋に絡み、更に大きな本筋が徐々に露わに成って行くと云う、非常に多重構造を上手く纏めた作品に成っています。
ミステリーの謎解きのみ成らず、一般小説として十分楽しめる筋立てに、構成の上手さを感じずには
居られません。
デビュー作の「さよならドビュッシー」も映画化され、益々売れっ子に成って行く予感がしますね、この方。
それに、今まで作品を読んで来て、最初から作品の毛色の幅の広さを感じます。
爽やかな音楽絡みのストーリーを書くかと思えば、耐性が無いと読めない様なスプラッタまで、、、
社会派の側面も持ち合わせてますし。
これらの要素が、更に今後上手く絡み合って、複雑な味わいに成る事、先ず間違い無いかと。
本作品、オチの付け方だけは読み手の感想に温度差が出ると思います。
クマは若干(^_^;)\(・_・) オイオイと思いましたが、、、
これはこれで、暖かみのあるオチなのかもしれませんが、、、
スッキリ楽しめる、外連味の無い連作短編集として御勧めです。
連作短編集だけに、一寸した暇を見付けて読み進める事も可能ですし。
ただ、このキャラクター達を、この連作短編集のみとするのは勿体無い様な気も、、、
(でも脇役の「山崎岳海」氏なんて、他の作品にサブメインで出てますし、この方々と多分今後の作品で又お会い出来るんでしょうね。本当にこの作者さんの生むキャラクターは「贖罪の奏鳴曲」の
感想でも書きましたが、魅力的なんですよ。そう云う作者さんって必ず売れっ子に成ります。)