観客動員469万人、興行収入59億4000万円の2012年度邦画のヒット作。
いや、結構面白かったんですよ、ただねぇ、、、
映画としてはこれで良いのかなぁ、、、
原作から離れる事は良くある事ですし、まぁ、アリだとも思っているのですが、持って行き方が、、、
テルマエ・ロマエ 2012年 武内英樹監督作品
先ず、映画化する時に、古代ローマの町並みを此処まで再現したその努力には頭が下がります。
伊太利亜、ローマのチネチッタスタジオのオープンセットで1000人のエキストラを使い、2週間に及ぶ撮影をしただけの事はあります。
(アメリカのHBOとイギリスのBBCが200億円使って撮影した「ROME」のセット後を安く使わせて貰ったようですが、それも才覚かと)
此処で手を抜いては作品そのものが成立しません。
ハリウッド映画並みに見事なセットが次々と出て来ます。
昔の日本映画はこの辺りを手を抜いて作ったので、貧乏臭さがプンプンして仮想世界には入れなかった事もあったような、、、
全くそれは御座いません。
配役も悪く無い。
特に主演の阿部寛さんは見事です。身長、体格共に全く外人キャストに見劣りしていない。
その上、ニコリともせずに真面目に主人公を演じきっています。
これもこの映画の成功を支えた主たる要因だと思います。
他の俳優さん達も、濃い顔の方を集めただけあって、何とかローマ人に見えます。
まぁ、いっそ、イタリア人俳優を使っても良かったんじゃ無いかなぁとも思いますが、、、、
(主演は阿部寛さんで無問題です!)
で、観始めて前半部、とっても面白い。
原作とは微妙に違うのですが、原作の完全な異文化との突然の遭遇(それも時代違い)の面白さを余すところなく描いています。
原作も
ブログで触れましたが、そのままの印象です。
ただ、これだけだと話が持たない、、、
ギャグマンガで、一話完結なら繰り返しパターンもある程度許されます。
しかし、映画です。
どう持って行くのかと観ていると、、、
段々話が、、、、
恋愛物っぽい流れに成り、ギャグで無くなり、、、
仕方無いのかなぁ、、、この予定調和を求める流れは、、、
何か、昔の邦画の様な肩すかし感が、、、、
どうなんでしょう、多分みんなで話し合って練った脚本なんでしょうね。
日本人的感覚で「笑いあり、恋あり、涙あり」に成っちゃってる、、、
皆が驚くような、原作とも異なるぶっ飛んだストーリーに持って行ければ凄い作品に成ったのでしょうが、綺麗に纏めようとしすぎかな。
でも、それ故に当たって上記の興行成績に成ったのかも知れません。
家族みんなで見られる判り易い映画ですもの。
賞を取ったり評論家を唸らせても、売れなかった映画は売れなかった映画ですからねぇ。
(でも、名画と成れば、後からじわじわとソフトが売れ、テレビで放送され続け、、、)
マニア受けする映画が良い映画って訳でも無い所が難しいです。
アニメのようにマニア受けを狙って大ヒットに繋がれば高度な作品も生まれるのでしょうが、一般映画ですとその線はなかなか実現がねぇ。
映画が娯楽の王様で在った時代には沢山の名作が生まれましたが、予算の問題も御座いますし、難しいでしょうね。
そんな中で、伊太利亜全土で50館以上に配給されたのですから、それ程悪く無い作品なのかも。
普通に面白い映画です。御家族で楽しめる。