まぁ、俗に言う、安楽椅子探偵ものなんですが、通常のそれでは無く、「市民サーヴィス臨時出張所」の相談で、謎の公務員さんがすらすらと謎を解く、、、
まぁ、チャッチャとオチの着く、一寸変わった推理小説ですが、結構面白く、すらすら読めました。
軽めの小説なんですが、伏線の張り方等上手く、それなりにオチも着くので楽しめます。
但し、本格ミステリー好きの方は、、、御立腹されるかも、、、
腕貫探偵 西澤保彦
腕貫探偵、残業中 西澤保彦
モラトリアム・シアターproduced by 腕貫探偵 西澤保彦
必然という名の偶然 西澤保彦
先ずは「腕貫探偵」帯から
「大学に、病院に、警察署に…突如現れる「市民サーヴィス課臨時出張所」。そこに座る年齢不詳の奇妙な男に、悩める市民たちはついつい相談を持ちかけてしまう。隣人の遺体が移動した?幸せ絶頂の母がなぜ突然鬱に?二股がバレた恋人との復縁はあり?小さな謎も大きな謎も、冷静かつ鋭い洞察力で腕貫男がさらりと解明!ユーモアたっぷりに描く連作ミステリ7編。」
最初の「腕貫探偵」では、全く謎の公務員。事務職らしい腕貫をしている所から、曰く、腕貫探偵、、、最後まで名前すらも???です。
2巻目の「腕貫探偵、残業中」で、仕事外の対応に成りますので、意外な程食べるのが好きな側面が現れるも、矢張り謎のまま、、、
3巻目の「モラトリアム・シアターproduced by 腕貫探偵」は長編書き下ろし。で、腕貫探偵さんは殆ど登場せず、、、まぁ、顔見せ程度で、、、
4巻目の「必然という名の偶然」は舞台都市が同じものの違う作品として書かれたものを文庫本化の時に無理にシリーズとしたようで、、、単行本としては3巻目より先に出されたものです。
関係無いような話が結構鏤められ、どう持って行くのと思いきや、超天才的探偵によって一刀両断の元、事件が明らかに成る、そんなたわいも無い小説です。
ですので、事実を緻密に積み上げながら、論理的推論で解決するようなお話しではありません。でも、よく読むと非常に複雑に複線が引かれていて、最後の解説はそれを拾い上げながら明らかにしていっているので、ああそうか、と、腑に落ちる事しきり。確かに強引な部分も無いとは言いませんが、概ねその辺りは本格的推理小説の基本を踏まえています。
ただ、文体を含め運びは、、、軽いですね。と言っても、さり気ない心理描写で、結構事件の裏を感じさせるような隠し味は効いているのですが、、、こう云う軽さで纏められるのも才能かも知れません。
却って此の作家さんの他のシリーズを読んでみようかな、って気にも成りました。
面白そうだし、、、
しかし、未だ未だ読んでいない作家さんて多いですね、、、若干反省、、、
気分転換にサクサク読める、結構面白いシリーズです。