結構細かめの活字で647ページ、読み応えたっぷりですが、読ませて呉れます。
楽しめました!
64(ロクヨン) 横山秀夫
先ずは帯より
「昭和64年に起きたD県警史上最悪の誘拐殺害事件を巡り、刑事部と警務部が全面戦争に突入。広報・三上は己の真を問われる。究極の警察小説完成!」
「警察職員二十六万人、それぞれに持ち場があります。刑事など一握り。大半は光の当たらない縁の下の仕事です。神の手は持っていない。それでも誇りは持っている。一人ひとりが日々矜持をもって職務を果たさねば、こんなにも巨大な組織が回っていくはずがない。D県警は最大の危機に瀕する。警察小説の真髄が、人生の本質が、ここにある。」
敏腕刑事も天才的な探偵も出て来ません。
そこにあるのは、一つずつ積み上げていったリアリティ。
骨太の男臭い小説が堪能出来ました。
ハードボイルドとは又違う、普通の人間を感じさせる、汗臭い小説です。
主人公は警察の広報官。
組織間の対立、心に残る事件、家庭の事、全てに振り回されながら、しかし自分を見失わず心の強さで前に進む、自分を信じて。
その姿には結構共感出来ます。
話は淡々と、しかし濃厚に始まり、ばらまかれた点はやがて線に成り、色々な人物が絡み、、、
情報量が多いので、様々なキャラクターが出て来ても一人一人の人物像がイメージし易く、読み手の頭の中でも活き活きと動いていきます。
そう成ってきた所に物語は次の展開を迎え、一気呵成にラストに。
途中からは読み止められません。本当に止まらず、、、
(御陰で、昨日寝たのは朝の7:00過ぎ、、、歳を考えると徹夜で読書なんてしている場合では無いのですが、、、)
いや、この辺りの構成は本当に上手い。
凄く練られています。
多分人がリアルに描かれているからこそのこのリアル感なんでしょうね。
苦悩、絶望、その中から再び立ち上がって動いていく時の心理がひしひしと伝わって来ます。
こう云う、読み応えのある小説も良いですね。
(勿論軽い物も好きですが、、、)
読書の時間が取れて、物語世界に没頭出来る時に是非どうぞ。
面白い小説です。