読んでいて気持ちの良い話ではありません。
下手なホラーより怖い。
ある、普通の教師が巻き込まれ、暴力教師として全国報道され、、、
普通に真面目に生活している我々の誰しもがこんな目に遭うかも知れない。
そう思って本書を読むと、こんな怖い話は無いと。
でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相 福田ますみ
文庫本裏表紙より
「「早く死ね、自分で死ね。」2003年、全国で初めて「教師によるいじめ」と認定される体罰事件が福岡で起きた。地元の新聞報道をきっかけに、担当教諭は『史上最悪の殺人教師』と呼ばれ、停職処分になる。児童側はさらに民事裁判を起こし、舞台は法廷へ。正義の鉄槌が下るはずだったが、待ち受けていたのは予想だにしない展開と、驚愕の事実であった。第六回新潮ドキュメント賞受賞。」
全国レベルで報道された報道内容は、碌に調べもしない一方的な報道内容で在った。
それが民事裁判の中で徐々に明らかになっていく、そんな話です。
被告の先生は子供好きながら、自己主張出来ない善良な弱いタイプ。
そんな普通の方が、体罰事件の極悪教師として祭り上げられていく、、、
その経過の中での判断や思いは、一般的な日本人的常識を持つものならばしてしまう様な判断であり、考え、、、
読み進める程に恐怖と不快感がこみ上げてきます。
何故彼はこんな目に遭わないといけないのか、、、
飽く迄、本作もノンフィクションですので、民事裁判の原告側の取材が出来てない以上、其方の考えや思いは書かれていません。
最後まで疑問は残りましたが、小説では無いので致し方ないかと、、、
それにつけても、属している組織にも事勿れ主義で裏切られ、報道により四面楚歌、、、
この方の心が良く折れずに保たれたなぁと本当に思います。
何時、心が病んでも不思議では無い状況がこれでもかとばかりに描かれています。
逃げ場無し、、、
でも、何時自分もそんな立場に追い込まれるかは、、、誰しもが、、、
ほんらいは「推定無罪」です。この国の法は。
しかし、世間という生き物の考えは、気儘であり情緒的であり、殆ど数学的でも論理的でもありません。空気を読む文化だからでしょうか、、、
(数学は本来ものを論理的に考える為に学習するもので、科学の根源を成す物だと個人的には信じています)
空気を乱す反論は許されず、正しい事でも言い難い、、、
そんな中で「推定無罪」である事は本当に難しいと思います。
更に、裁判の結審も開始も待たず、世間的に有罪、、、
怖い話です。
何時こんな目に遭うか判らない現代ですので、心の準備の為に一読をお勧め致します。