「
冬芽の人」、「
海と月の迷路」に引き続き読んだ新作ですが、アクションものなのですが、結構引き込まれて読み切りました。
個人的な感覚に合ってるのかも知れませんが、面白い!
単なるアクションものでは無く、主人公の特異なキャラ故に、結構ハードボイルドしてます。
まぁ、実際にはこんな凄い主人公、そうそうは居無いとは思うのですが、そこは娯楽小説ですので、、、
ライアー 大沢在昌
帯より
「殺人の代償。それは、誰も愛さないことだった。」
「優しい夫と可愛い息子。幸せな生活を送る妻の本当の顔は、対象人物の「処理」を専門とする政府組織の工作員。彼女にとって、家庭とは偽りだった。夫が謎の死を遂げるまでは…殺人機械だった彼女の、愛を知るための戦いが幕を開ける。」
「壮絶な騙し合いと殺し合い、その果てに待つ切なすぎるの真実――大沢アクションの新たなる頂点。」
まぁ、新たな頂点かどうかは若干疑問ですが、結構楽しめました。
今回な主人公は有り得ない41歳のスーパー主婦、、、
自衛隊上がり4人の男を制圧しうるスーパーウエポンが41歳の中年女性というのも、、、
確かに子供の存在と、死んだ夫の事が最後まで絡むのでその様な年齢に成るのかも知れませんが、なんだかなぁ、、、
大沢さんも歳を取ってきてヒロインの年齢が段々上がっている様な気が、、、
とは言うものの、非常に魅力的なキャラで沈着冷静、感情をコントロール出来る殺人マシーンです、この主人公。
冒頭からそのアクション炸裂で、ぐいぐい引き込まれていきます。
で、話が夫の死を機会に違う方向に流れていきます。
その辺りからも変わらないスピード感。
大沢さんにとってハードボイルドが「自分の生き方を貫き、自らが傷つきながらも闘うことを選ぶ男の心情を描く物語である。」だそうですが、そのまま当て嵌まる主人公です。
脇役もなかなか魅力的なキャラを揃え、下手な映画よりも遙かに映像的なイメージで楽しめる小説だと思います。
それに、真相が二転三転し、誰が真実を語っているのか、読み手も判らなくなり、、、
結構ミステリーとしても楽しめました。
荒唐無稽な組織の話と言ってしまえばそれまでなんですが、、、
その辺りを白けさせずに読み切らせるだけの筆は御持ちの方ですので、それ程気に成らないとは個人的に思います。
まぁ、ラストが若干救いの無い終わり方だと思いますが、話の流れ上仕方無いかも知れないとも思います。
ハッピーエンドで終わるには主人公も組織も汚れすぎていますので。
そこそこ読み応えのある娯楽小説として楽しめますよ。