出張にハードカバーの単行本を持っていくのは荷物になるので、読むのが後回しになってました。
今回も作品として上手く纏まっていると思います。
面白い。
しかし、この方の作品も海堂さん同様、色々な作品での登場人物に相関があって、、、まぁ、上手いファンサービスですね。
勿論単独作品としても完全に楽しめます。
テミスの剣 中山七里
表紙裏より
「昭和五十九年、台風の夜。埼玉県浦和市で不動産会社経営の夫婦が殺された。浦和署の若手刑事・渡瀬は、ベテラン刑事の鳴海とコンビを組み、楠木青年への苛烈な聴取の結果、犯行の自白を得るが、楠木は、裁判で供述を一転。しかし、死刑が確定し、楠木は獄中で自殺してしまう。事件から五年後の平成元年の冬。管内で発生した窃盗事件をきっかけに、渡瀬は、昭和五十九年の強盗殺人の真犯人が他にいる可能性に気づく。渡瀬は、警察内部の激しい妨害と戦いながら、過去の事件を洗い直していくが…。中山ファンにはおなじみの渡瀬警部が「刑事の鬼」になるまでの前日譚。『どんでん返しの帝王』の異名をとる中山七里が、満を持して「司法制度」と「冤罪」という、大きなテーマに挑む。」
著者の「さよならドビュッシー」と共にデビュー作である「
連続殺人鬼カエル男」で初めて登場した渡瀬警部が主人公の物語です。
彼が未だ若かりし頃、昭和59年に起こった事件が始まり。
そして、昭和64年の事件へと繋がり、現在へ。
こうして読むとクマ自身、多分この主人公ほぼ同じ歳、、、
何となく親近感が、、、
渡瀬警部は「連続殺人鬼カエル男」以降も「魔女はよみがえる」「
贖罪の奏鳴曲」にも登場しています。
まぁ、お馴染みのキャラですね。
その彼の、執拗なまで裏を取る性格が何故形成されたのか、それもこの話の1つのテーマです。
そしてこの小説の根幹的エピソードは「
靜おばあちゃんにおまかせ」でも語られています。同小説の主人公である、高円寺静が高裁の判事であった頃が描かれているのですから。
挙げ句に「
切り裂きジャックの告白」で犬養隼人刑事と古手川和也刑事がコンビを組む導入部まで書かれてますし、、、
ファンサービスのネタは天こ盛りです(^o^)
ストーリーそのものは主人公の渡瀬刑事を中心に結構骨太のタッチで進みます。
冤罪が如何に無実の青年を追い込み、その家族を追い込んだか、そしてそれが冤罪であった事が判明した時の組織の動き、、、
お決まりと言えばお決まりなんですが、もし自分が巻き込まれたとしたらと考えるとぞっとする話です。
更に20数年の時を経て現在へ。
そこでのどんでん返し。
まぁ、この辺りはこの作者さん期待通りの筆です。
ただ、随分読んでくると、、、パターンもあって、、、正直今回はボスキャラ、途中から感じてましたが、、、(なので、矢っ張り!って感じでした)
でも、本当に面白く読ませて呉れますよ。
読み手を引っ張るのが凄くお上手ですから。
デビューして5年でこの作品数とレベルですから、この方本当に凄いです。
次回作も非常に楽しみです。