昨日、NHK BSプレミアム「アナザーストーリーズ」の「アイルトン・セナ事故死 不屈のレーサー 最期の真実」を観て、そう云えば観てなかったぞと、棚から引っ張り出して観たのですが、、、
反省、、、
もっと早く観ておくべきでした。
脚本、配役、演出、演技、カメラワーク、全てが結集され、あの時代のあのF1シーンを見事に切り取っていました。
ラッシュ/プライドと友情 2013年 ロン・ハワード監督作品
相も変わらず邦題が、、、
「RUSH Based on a true story」が原題ですので、そのままで良い様な気が、、、
1976年のF1、かの有名なニキ・ラウダ氏とジェームス・ハント氏のチャンピオン争いを中心に据え、そこまでの流れ、二人の人生とその想い、時代を絡め時代のワンシーンとしてドキュメンタリーの様に見事に切り取っています。
このシーズンの二人の争いはニキ・ラウダ氏の第10戦ドイツGP、ニュルブルクリンクでの事故もあり、最終戦の日本GPまで事実そのものが非常にドラマティックであり、フィクションとしても演出過多と言われるかも知れない位です。
それを比較的押さえた描写で追い、どちらかと云うと二人の内面が滲み出る様なシーンを重ね、レースシーンのみ、「これぞ映画!」と言える位多彩なカットでレースの逼迫した空気を伝達する演出で、見事にメリハリがあり史実に基づいたドキュメンタリータッチなのに娯楽映画として成立しています。
この辺りの演出は本当にロン・ハワード監督は見事だと思います。
事実、この時代のF1を知っている者にとってこのストーリーは史実であり、結末まで観なくとも判っている訳です。どちらが勝つかまで含めて。
そうであっても非常に面白く観る事が出来たのは、バランス良くリアリティを大切にした映画であったからだと思います。
作りの悪い映画の場合、結末までのストーリーの大凡が判っているなら見終える事はとても苦痛ですから。
脚本の段階で脚本家のピーター・モーガン氏は知人であったニキ・ラウダ氏の協力を仰ぎ、その時に何があったのかを克明に脚本に刻みました。
そして、ニキ・ラウダ氏役のダニエル・ブリュールさんも氏のウィーンの自宅に招かれ、交流を重ねる事によって、コピーの如く当時のニキ・ラウダ氏そのものを演じています。
(仕草、話し方、もの凄く似ています)
ジェームス・ハント氏役のクリス・ヘムズワースさんも体重を落とし、当時のジェームス・ハント氏の映像を何度も観る事によってリアリティを高めています。
この二人の俳優によって本当に史実の隠し撮りを観るかの様な印象を持つ程、リアルな映画に仕上がったと思います。
更に当時の服装、風俗も全く手を抜かれる事無く描かれているので、タイムスリップした様な気さえしてきます。
小物に至るまで当時の物です。
出て来るレースカー以外のクルマも何処で探してきたのか不思議に成る様な物ばかり。
日本GPでも手は抜かれず(極細部に齟齬は御座いましたが)、セリカやクラウン、当時の車種でした。
こう云った事一つ一つに手を抜かない事が全体の底上げに繋がり、この映画の格を上げていると思います。
もしF1が御好きでしたら、是非御覧に成って下さい。
当時のF1マシーン、現在の色々な思惑で雁字搦めに成ってずんぐりむっくり不細工なF1マシーンと違って伸び伸びと大地に足を張って凄く美しいですよ。
その映像だけでも観る価値は十二分にあると思います。
F1に興味が無くても人間ドラマとして十二分に見応えのある映画です。
どなたにも御勧め!