「深夜食堂」、元々はビッグコミックオリジナルに今も連載されている、安倍夜郎さんの漫画。
2009年にテレビドラマ化され、2011年続編、2014年第3部。
じわじわと火が付く形で広まっていった人気作品です。
原作漫画も全て所有、テレビドラマも全て観ているので、初見の方とは印象がどうしても変わるかもしれませんが、この映画、元々の雰囲気が殆ど損なわれず上手く出来ています。
まぁ、逆に映画館で観る映画としてどうかな、と云う印象もあるのですが、、、
映画 深夜食堂 2015年 松岡錠司監督作品
新宿・花園界隈の路地裏にある、深夜0時から朝の7時迄が営業時間の小さな飯屋、だから深夜食堂。
此処でのマスター、常連客、飛び込みの客の悲喜交々の物語が描かれている作品です。
此はテレビシリーズから変わらない話で、映画のオープニングもほぼ同じ。
新宿の町並みを写しつつ、豚汁を作る工程で〆るのも同じ。
主題歌も同じで、そのまま馴染みの店の暖簾を潜るように作品に引き込まれます。
この辺りは監督自身がテレビシリーズにも関わっている松岡錠司監督ですので、上手く作られていると思います。
映画だからと云って作りを変えずに作品世界を馴染みのお客に提供するのは上手いやり方ですね。
この番組の馴染み、豪華な作りなんて期待してませんもの。
短編連作で上手く構成されている映画ですが、エピソードの一つ一つの作りはテレビ版と然程変わりません。
ただ予算が付いたからか、深夜食堂の二階の部屋、マスターのアパート、買い出しシーン、深夜食堂周辺の路地の描写が所々に描かれていて、映画である事を上手く(少し誇らしげに)提示しています。
ファン心を擽る上手い作り方だと思います。
マスター役の小林薫さん以下、常連客の構成も変わらず、役者さんも同じ。
だから御店の雰囲気は同じ。
何れの役者さんもとても芸達者な方ばかりですし。
だから基本骨格がしっかりしているので、却ってエピソードの中心になるゲストの役者さんが映えます。
そのストーリーのもう一つの主役は料理。
まぁ、この映画、観ていると必ずお腹が減ります。
それ程、料理が効果的に良い演技をして居ます。
色々、グルメドラマやグルメ漫画はありますが、これ程、特別では無い普通の料理が効果的に使われている話は余り無いと思います。
この映画でも、ナポリタン、卵焼き、とろろ御飯、カレーライスが主たる料理ですから。
(タコさんウインナーも出て来ます(^o^))
基本的にテレビシリーズからの常連客を大切にした構成の映画ですが、これから観始めても良い様には作られていますし、それに対する細かな心遣いも感じられます。
人間ドラマとしてほっこりする映画ですよ。