出演者で選んでヨメが借りてきた作品でしたが、観終わって悪く無かったけれど、此の作品って売れたの?と思い調べると、興行収入約11億円のスマッシュヒット。
此れがそこそこ売れる今の日本映画を取り巻く環境って意外と悪く無いんだなぁ、と個人的に思いました。
観る方を選ぶだろうし、面白く無いという意見もあるとは思いますが、個人的には悪く無い作品だと思います。
何者 2016年 三浦大輔監督作品
纏めて言ってしまえば、就活をする若者達の青春群像劇です。
それだけです。
青春ですからドロドロです、恋愛感情も適度に絡みますし、カッコも付けたいお年頃。
でも、就活戦線が舞台と成ると心の底のややこしい部分も、、、
その辺りを上手く演出していると思います、重たく成り過ぎず深刻に成り過ぎず。
此のバランスは極めて現代的ですね。
大昔の青春物の様に暑苦しくないですし、暴力シーンも無し。
(今から考えると、論理性に欠けたアホに見えるのは偏見でしょうか)
無駄に判りあったりもしません。
臭い台詞もありません。
その代わり、現実的な打算や、本音のSNS匿名投稿はスパイスとして鏤められてます。
そして、それを演じる俳優さんは旬の方ばかり。
彼らの演技を上手く引き出したのも、成功作に成った一因だと思います。
仲間内の心理葛藤を描く作品って、一歩間違うと学芸会か難解な実験演劇に成りかねませんから。
同年代の役を上手く演じる俳優さんの空気が、感覚的同意を醸し出していると思います。
観る方によって評価が分かれる作品だと思います。
此の作品の持つ現代的な空気にそぐわないと、異次元を見ている様な気がするかもしれません。
同じ様に「自分が何者であるかを見つめる」作品であっても、30〜40年前の作品でしたらもっと異質の空気でしたから。
勿論、「若いねぇ、、、そうそう、そう云う事で悩むよね。良いなぁ、羨ましいなぁ、、、」と云う、人生終わりかけ目線で観ても、案外楽しめましたが、、、
ただ、此の題材でスマッシュヒットとして認められるだけの興行成績を残した事は、評価すべきだと思います。
全く興行的に揮わなかった芸術映画は枚挙に暇が御座いませんから。
高校生や大学生のお子さんのいらっしゃる親御さんが御覧に成ると、別視線で楽しめるかもしれません。
自分の若かった頃と対比しながらですが。