3が一昨日(1月6日)届いたので読んでました。
とても懐かしく、楽しく読めましたが、多分オーディオ好きしか興味が湧かない本だと思います。
3でほぼ現在のスピーカーまで至りましたので、全三巻に成るのでは無いかと思います。
出来る事なら、4で現在までの海外スピーカーに関して記載して頂けると完璧なのですが、著者の佐伯多門さんが御高齢ですのでどうなるか。
帯より
「1915年に誕生したスピーカーの元祖は、ラジオ受信機、トーキー映画用音響装置、電気蓄音機、テレビ受信機、ステレオ再生装置などに発展・拡大した。そして、電気信号をできるだけ忠実に再生することを目的とした技術者が次々と現れ、数多くの名スピーカーが誕生した。本書はその歴史の系統的な研究成果である。」
「オーディオの歴史をスピーカーから俯瞰する」
オーディオヲタなら御存知だとは思いますが、佐伯多門さんは三菱電機で長年スピーカーの研究開発をされていた方で、NHKとの共同開発でNHKのモニタースピーカーであった2S-205、 2S-305の設計・開発の主任をされ、以降も数々の名作スピーカーを世に出された方です。
(御本人によると、一番思い出深いスピーカー創りは1980 年発売のDS-505だった様ですが)
電話実験の受話器に始まるスピーカーの歴史を、膨大な資料を基にそれを精査整理し、判り易く時系列に基づいて記述し、多くの写真、図を見やすく提示した、御自身の研究の集大成の様な本です。
とても客観的な記載で、資料として一級品だと思います。
(オーディオ本によくある、芸術的感覚的記述は殆ど見受けられません)
勿論今の時代、何かを調べる時にネットの海はとても役に立ちます。
思わぬ資料に当たる時も間々あります。
しかし、歴史的な立ち位置で、100年の歴史を詳細に俯瞰した資料やHPは御目に掛かった事が御座いません。
そう言った意味では、お金を払って手に入れる価値のある本だと思います、興味のある人間には。
確かに歴史の狭間に忘却されていったマイナーメーカー等は拾い切れていない側面も御座いますが、それでもYL音響、それに続くゴトウユニット、ALE音響の記載、個人的に思い出深いマクソニックの母体だったミラフォン(日本音響電気)に関しても結構詳細に記載されていて、これ以上を求めると何倍の量に成るのか、実用性を考えると此れが見事な妥協点では無いかと思います。
興味のある方は絶版に成る前に是非!